分析事例

炭素材料の構造分析2(ラマン分光法)

炭素材料であるフラーレンやカーボンナノチューブは、結晶構造の違いにより電気特性等が異なり、エレクトロニクス分野やマテリアル分野で活用されています。
ここでは、結晶構造の異なる炭素材料をラマン分光法により分析した事例をご紹介します。

分析試料

  • 炭素材料(フラーレン、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ)

分析方法

  • ラマン分光法 励起レーザー波長:532nm
  • (レニシヨウ パブリツク リミテツド カンパニ-製 inViaTM Qontor)

分析結果

ダフラーレンでは、1470cm-1付近に六員環に囲まれた五員環ネットワーク由来のピークが観測されました。多層カーボンナノチューブでは、1350cm-1付近に構造の乱れ由来とされるDバンドのピークと1590cm-1付近にグラファイト構造(sp2結合)由来のGバンドのピークが観測されましたが、単層カーボンナノチューブでは、1590cm-1付近にグラファイト構造(sp2結合)由来のGバンドのピークに加え、180~130cm-1にRBM(ラジアルブリージングモード)由来のピークが確認されました。

各炭素材料のラマンスペクトルグラフ
図 各炭素材料のラマンスペクトル

まとめ

ラマン分光法では、炭素材料の結晶構造や結晶性の評価が可能です。