分析事例

オリゴ核酸の分析(LC-TOFMS)

医薬品や検査診断薬として、オリゴ核酸が近年注目されています。オリゴ核酸は化学的に合成されます。合成の過程で塩基鎖長の短い不純物が発生する可能性があり、品質管理において目的成分から不純物を分離する分析法が求められています。ここでは、液体クロマトグラフィー-飛行時間型質量分析(LC-TOFMS)法による合成オリゴ核酸ODN1の分析例をご紹介します。

分析試料

  • 化学合成オリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN1、分子量6814 Da)
  • 脱塩精製品 及び オープンカラム(OPC)精製品

分析方法

  • LC-TOFMS法(SCIEX社製 TripleTOF6600)

分析結果

OPC精製品のLC-TOFMS法により得られたUVクロマトグラム(検出波長:260nm)を図1左に、分子量演算(デコンボリューション)処理により得られたMSスペクトルを図1右に示します。UVクロマトグラムから検出された主なピーク(保持時間 約10.9分)の分子量(6814.1 Da)は理論値とほぼ一致しました。また、OPC精製品と脱塩精製品のLC-TOFMS法により得られたUVクロマトグラムを比較した結果(図2)、OPC精製品と比較して脱塩精製品からは面積%が1%未満の微小ピーク(短塩基長の不純物等に由来)が多数検出されました。

ODN1溶液のUVクロマトグラム及びデコンボリューション処理後のMSスペクトルグラフ
図1 ODN1溶液のUVクロマトグラム及びデコンボリューション処理後のMSスペクトル
ODN1 OPC精製品(青色)及び脱塩精製品(桃色)のUVクロマトグラム比較グラフ
図2 ODN1 OPC精製品(青色)及び脱塩精製品(桃色)のUVクロマトグラム比較

まとめ

LC-TOFMS法による合成オリゴ核酸の分析で、目的成分の分子量確認や不純物の分離分析が可能です。