分析事例

ラマンイメージングを用いたポリマーの配向性評価

ポリマー材料は成型加工時の延伸により、分子鎖が引き揃えられることで、延伸方向の強度が高くなります。このため、ポリマー成型品の力学特性を把握する際に、配向性や結晶性を確認することは重要です。ラマン分光法は局所的な配向性や結晶性を評価するのに有効な分析法です。
ここでは、配向性の違いを2次元でとらえることができるラマンイメージングにより、ポリプロピレンの射出成型品の配向性を評価した事例をご紹介します。

分析試料

  • ポリプロピレン製チップ

分析方法

  • ラマンイメージング 励起レーザー波長:532nm
  • (レニシヨウ パブリツク リミテツド カンパニ-製 inViaTM Qontor)

分析結果

試料の光学像とラマンイメージ像(緑~黒色)の重ね合わせを図1に、部位①、②のラマンスペクトルを図2、3に示します。ポリプロピレンの分子配向に起因する840 cm-1と810 cm-1のピーク強度比を用いてラマンイメージ像を作成した結果、試料先端部である部位②のピーク強度比(810 /840 cm-1)が高いため、X軸右方向に配向性が高いことがわかりました。また、ラマンイメージ像では試料の先端部から中央まで、中央から根元部で配向性が異なることがわかりました。

図1 ポリプロピレン製チップの光学像とラマンイメージ像の重ね合わせ
図1 ポリプロピレン製チップの光学像とラマンイメージ像の重ね合わせ
  • 図2 部位①のラマンスペクトル
    図2 部位①のラマンスペクトル
  • 図3 部位②のラマンスペクトル
    図3 部位②のラマンスペクトル

まとめ

ラマンイメージングにより、試料の配向性を評価することが可能です。