分析事例

シリコーン含有試料中のSi定量分析

金属元素分析の前処理法としてアルカリ融解(溶融)法があります。この前処理法は、主にケイ素化合物を含む試料や無機酸化物の前処理法として有効な方法です。以下にアルカリ融解法を用いてシリコーン含有試料中のSi定量を行った事例を紹介します。

(1)分析方法例

アルカリ融解/ICP−AES法による分析フローチャートを示します。

図1 分析フローチャート

図1 分析フローチャート

(2)シリコーン含有試料中のSi定量分析例

シリコーン含有試料を、酸分解(フッ化水素酸添加)法,アルカリ融解法の2通りの方法で前処理を行い、それぞれICP−AESによりSiを定量しました。結果を以下に示します(図2)。

図2 シリコーン含有試料中のSi定量結果

図2 シリコーン含有試料中のSi定量結果

定量結果を比較すると、標準試料の分析結果は、アルカリ融解法では理論値に近い値を示しましたが、酸分解法(フッ化水素酸添加)では理論値より低い値を示しました。また、未知試料の分析結果でも、酸分解法はアルカリ融解法より低い値を示す傾向が見られました。

このようにSi定量分析における前処理法として、アルカリ融解法は非常に有効な方法であることが分かります。