分析事例

健康茶の分析(無機元素)

近年、様々な健康機能をうたった健康茶が市販されています。ここでは数種類の健康茶および緑茶等について、ICP−MS法およびICP−AES法による金属分析とイオンクロマトグラフ法(以下 IC法)によるアニオン分析の事例をご紹介します。

(1)試料と抽出

市販されている健康茶および緑茶で、ティーバッグタイプのもの7種を選択しました。
1)緑茶、2)ほうじ茶、3)プアール茶、4)黒ウーロン茶、5)杜仲茶、6)甜茶、7)桑の葉茶
1)〜4)はいずれも緑茶系で、2)〜4)は加熱や発酵などの加工を施したものです。
茶葉1gに熱湯50mlを加え、約5分間静置し抽出しました。その後、ろ過し、各測定を行いました。

(2)ICP−MS法による金属半定量

表1 ICP−MS法による金属半定量結果(単位:ppm[mg/kg]]

元素名1)2)3)4)5)6)7)
Li0.400.470.28    
B2554222250189.7
Na17017043071512723
Mg1,9002,9001,4001,5003,9002,5003,600
Al4001,0006405209.59.86.2
Si 110  1,100 1,000
K16,00018,00014,00013,00013,00014,00015,000
Ca1703202402304,0001,0001,700
Sc*    0.85 0.78
Ti1.21.71.001.21.20.691.6
V0.360.41  0.260.350.21
Cr1.11.4  0.931.00.66
Mn4305104905001501,10057
Fe103122191304063
Co  0.380.23   
Ni5.75.06.73.30.962.41.3
Cu2.20.803.01.30.270.800.81
Zn189.8139.08.72812
Ga* 0.300.550.281.82.00.91
As   0.630.523.30.25
Se0.61   1.1  
Br     160 
Rb253612097172626
Sr2.04.84.94.9309.59.9
Mo*0.330.25   0.63 
Cd     0.23 
I0.67 1.41.2 1.0 
Cs0.210.380.750.64   
Ba2.53.77.23.6222812
Pb  0.240.370.442.1 

空欄はNDを表します。上表以外の金属元素はすべてNDでした。
* Sc,Ga,Moは存在が疑わしい元素です。

(3)ICP−AES法によるP定量

表2 試料中のP定量結果(単位:ppm[mg/kg])

試料名Entry1Entry2Mean
1)緑茶1,9001,9101,900
2)ほうじ茶2,9702,9803,000
3)プアール茶1,7301,7401,700
4)黒ウーロン茶1,9401,9602,000
5)杜仲茶1,0101,0001,000
6)甜茶1,2001,2101,200
7)桑の葉茶2,1402,1202,100

(4) IC法によるアニオン定量

図1 ほうじ茶中のアニオン成分

図1 ほうじ茶中のアニオン成分

図2 甜茶中のアニオン成分

図2 甜茶中のアニオン成分

表3 IC法によるアニオン成分の定量分析(単位:ppm[mg/kg])

元素(換算イオン)1)2)3)4)5)6)7)
F1,2001,4001,1001,1001,200690990
uk1(F)3699855525013079
Cl1,3009602,4007202404,3001,400
NO2 2.3-2.0-1.7  -2.0
uk2(NO2)3.6 4.326   
uk3(NO3)34      
NO338336164352002,300
uk4(NO3)      120
uk5(SO4)    4,900400 
uk6(SO4)6708304301,600 2,300990
uk7(SO4)1,2001,7001,8007,0005,600190990
SO4 1.45.22548190130
uk8(SO4)*5,300*3,2003,0009,200540810990
uk9(PO4)    1103804,800
PO41,800*2,4001,9001,6001,7002,4003,100*
uk10(PO4)150150 97   
uk11(PO4)1,2001,7001,3009103,4003,4002,400
uk12(PO4)170 63 140210 
uk13(PO4) 160     

uk1〜uk13については、成分の帰属が困難だったため、それぞれカッコの中に示したイオン成分に換算した値を示しました。
試料1)、7)のPO4は、夾雑物の影響で過大値と考えられます。