分析事例

食用油中のグリシドール脂肪酸エステル含有量の分析

食用油中に含まれるグリシドール脂肪酸エステルが体内で消化されるとき、発がん性のあるグリシドールに変換される危険性が懸念されています。その反応を以下に示します。

この食用油中のグリシドール脂肪酸エステル量を定量する方法として以下の方法で実施可能です。

(1)ドイツ公定法:DGF Standard Method C-III 18(09)による分析

この方法はグリシドール脂肪酸エステルを加水分解し、生成した3−クロロプロパン−1,2−ジオール(3-MCPD)をフェニルホウ酸により誘導体化し、GC/MSで定量します。

図1 オプションA法

図1 オプションA法

グリシドール脂肪酸エステルの分析結果
市販の食用油中のグリシドール脂肪酸エステルを3-MCPDに換算し、定量した結果を表1に示します。

表1

試料名3-MCPD含量
食用油A0.4μg/g
クッキングオイルB69μg/g

定量下限:0.1μg/g

マスフラグメントグラム

マススペクトル

図2

(2)LC-MS/MS法によるグリシドール脂肪酸エステル分析

グリシドール脂肪酸エステル標品を用いて、高感度での油脂中のグリシドール脂肪酸エステルの定量を行うことができます。

図3 グリシドールパルミチン酸エステルの定量分析結果画像
図3 パルミチン酸グリシドールエステル(16:0-GE)検量線

図4 油脂のマスフラグメントグラム
図4 油脂のマスフラグメントグラム

AB SCIEX QTRAP®5500
LC-MS/MS装置
AB SCIEX QTRAP®5500