FD法とはGC装置を介さず、試料を塗布したエミッターを直接質量分析計に導入する手法です。FD法はソフトなイオン化のため、分子量情報が得やすい、フラグメントイオンが少ないという特徴があります。FD法ではオリゴマー成分などの分子量の大きい成分や有機金属化合物などを分析することが可能です。
以下にFD法での分析事例をご紹介します。
FD法によりラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの測定を行いました(図1参照)。測定の結果、分子量情報を与える分子イオンM+とナトリウム付加イオン[M+Na]+と推定されるイオンが検出されました。
図1 ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム測定結果
FD法により、有機ELパネルの発光材料であるトリス(8-キノリノラト)アルミニウム(Alq3)の測定を行いました(図2参照)。測定の結果、分子量情報を与える分子イオンM+のみが検出されました。
図2 トリス(8-キノリノラト)アルミニウム測定結果