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分析事例

多変量解析(共分散解析)を用いた液晶ポリマーの熱劣化解析

多変量解析とは、膨大なデータから有益な情報を取り出す統計的な手法です。分析データに同手法を適用することにより、試料間の僅かな差を見出したり、有益な情報をあぶり出すことができます。例えば、ポリマーの劣化解析などでは、劣化前後の微小な変化を捉えることができ、劣化に由来するピークを特定することができます。今回は熱劣化させた液晶ポリマー(LCP)を反応熱分解-GC/TOFMSおよびIR、13C NMRにより分析し、得られたデータに共分散解析(スペクトル間の相関分析)を適用した事例をご紹介します。

実験

試料はシグマアルドリッチ社製のPoly (4-hydroxybenzoic acid-co-ethyleneterephthalate)(図1)を用いました(未処理品、試料1)。また、熱処理品として同ポリマーを350℃の空気雰囲気下で、0.5および1、2、5時間熱処理しました(試料2~5)。各試料の反応熱分解-GC/TOFMSおよびIR測定を行い、得られたデータを共分散解析に供しました。

図1 液晶ポリマー構造式

結果

全試料のGC/TOFMS-トータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)およびIRスペクトル、固体13C NMRスペクトルの共分散解析を行いました(図2~4)。
図2より、熱処理によりピーク強度が減少する反応熱分解-GC/TOFMSのピークBは同処理により分解するエステル結合を示唆するIRの1712cm-1のピークと正の相関を有していました。また、IRの同ピークは熱処理により異常構造の生成を示唆する反応熱分解-GC/TOFMSのピークAと負の相関を有していました。

図2

図2 熱処理時間の異なるLCPの反応熱分解-GC/TOFMS-TICとIRスペクトルの共分散解析結果((左)正の相関、(右)負の相関)

図3より、IRスペクトルおよび固体13C NMRスペクトルは熱処理により分解するエステル結合を示唆するピーク間(IRの1712cm-1と固体13C NMRの①、⑤、⑥のピーク)で正の相関が得られた。また、エステル結合に由来するピーク間での負の相関(1712cm-1とピーク⑦、1748cm-1とピーク⑤)は熱処理によるポリマー主鎖中のエステル結合の変性を示唆していると考えられる。

図3

図3

図3 熱処理時間の異なるLCPのIRと固体13C NMRスペクトルの共分散解析結果((左)正の相関、(右)負の相関)

図4より、熱処理によりピーク強度が減少する反応熱分解-GC/TOFMSのピークBは同処理により分解するエステル結合を示唆する固体13C NMRの①、⑤、⑥のピークと正の相関を有した。また、ピークBと負の相関を有する固体13C NMRのピーク⑦はエステル結合の変性を示唆していると考えられる。

図4

図4 熱処理時間の異なるLCPの反応熱分解-GC/TOFMS-TICと固体13C NMRスペクトルの共分散解析結果((左)正の相関、(右)負の相関)

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