分析事例

自動車用樹脂中のフィラーの分散状態観察(FIB-SEMによる三次元解析)

自動車、航空機分野等では、強度や剛性があり軽量な有機/無機複合材料が広く用いられています。有機/無機複合材料に含まれる無機フィラーの大きさや分散状態は、機械特性に大きく影響することから、無機フィラーの分布や配向などを把握する必要があります。本資料では、樹脂内のフィラーをFIB-SEMにより三次元的に評価した事例をご紹介します。

分析試料

  • 無機フィラーを含む自動車用樹脂

分析方法

FIB-SEM(Zeiss製CrossBeam550)を用いて、自動車用樹脂の加工・観察を100nmステップにて300回繰り返し、取得した画像から三次元モデルを構築、画像解析を行い樹脂とフィラーの体積比率、体積ごとの分布を求めました。

分析結果

三次元画像構築結果を図1、解析結果を表1に示します。樹脂内には10Vol%程度のフィラーが含まれていることが分かりました。

図1 三次元構築画像
図1 三次元構築画像

表1 樹脂とフィラーの体積
  体積(µm3) 割合(%)
樹脂の体積 12,889 91
フィラーの体積 1,260 9
総体積 14,149 100

フィラーの詳細な解析により、樹脂内には約112,000個の粒子があり、大きさ0.001µm3未満の粒子が最も多いですが、フィラー全体の体積の約2%に過ぎないことが分かりました。一方、大きさ100µm3以上の粒子は2個しか在りませんが、全体の約18%を占めることが分かりました(表2、図2)。

表2 フィラーの体積ごとの体積和、個数
フィラーの体積(µm3) <0.001 0.001-0.01 0.01-0.1 0.1-1 1-10 10-100 >100
体積和(µm3) 29 68 129 214 298 294 228
体積和(%) 2.3 5.4 10.2 17.0 23.7 23.3 18.1
個数(個) 84,444 22,707 4,533 771 107 13 2
個数(%) 75.0 20.2 4.0 0.7 0.1 0.0 0.0

図2 フィラーの粒度分布グラフ
図2 フィラーの粒度分布

さらに、フィラーの体積ごとの分散状態が分かりました(図3)。

図3 フィラーの体積ごとの分散状態
図3 フィラーの体積ごとの分散状態

この様に、画像解析を行うことにより、樹脂に配合したフィラーの定量的な評価が可能となります。