化粧水や美容液などの基礎化粧品、口紅やファンデーションなどの美容化粧品は、水や油、乳化剤、顔料などの多成分の混合物です。これらの成分の微細構造や分散状態が化粧時の外観や仕上がりに影響するため、各成分の状態を確認することは重要です。クライオSEM法はペースト状の構造を維持したまま、微細構造や分散状態を観察できる手法です。
本資料では、化粧下地を凍結割断後、クライオSEM法により化粧下地に含まれる微粒子の形態観察を行いました。また、SEM-EDX法による元素マッピング分析を行い、各元素の分布状況を確認しました。
化粧下地をそのまま急速凍結後、凍結割断により観察面を作製し、クライオSEM観察およびSEM-EDX法による元素分析を実施しました。
(凍結割断:ライカマイクロシステムズ製 ACE600FF、クライオSEM:Zeiss製EVO15LS)
(EDX:BrukerAXS製 QUANTAX XFlash6|30)
クライオSEM観察結果を図1に示します。観察の結果、大きさの異なる球状の粒子が多数分散している様子が確認されました。
図1 化粧下地のクライオSEM像
SEM-EDX法によるC、O、F、Na、Mg、Al、Si、Tiの元素マッピング分析結果を図2に示します。
分析の結果、化粧下地に含まれる各元素で分布が異なることが確認できました。
図2 化粧下地の元素マッピング分析結果
この様に、クライオSEM法とSEM-EDX法を組み合わせることで、流動性のある試料でも元素の分布を確認することができます。