分析事例

異物分析の流れについて

近年、各分野における品質管理能力の向上に伴い異物混入防止の要求が強まっております。材料や製品中に異物や汚れ等が混入した場合、早急にその原因を突き止める必要があります。

分析依頼の流れ

分析依頼の流れ

各種分析法の特徴

異物の大きさや形態、状態に応じて、[1]形態観察→[2]試料調製→[3]分析の順で実施します。

1.形態観察
異物の形態観察に用います。
方法情報プローブシグナル観察倍率特徴
OM形態観察可視光線可視光線〜1000倍異物の色調
写真撮影
SEM形態観察
表面微細構造
電子線二次電子
反射電子
〜50000倍高真空下
写真撮影
高倍率観察可
2.試料調製
異物を確認し、試料の状態に応じて適切な試料調製を選択します。
  • 直接採取
    実体顕微鏡下、マイクロマニピュレーターも併用して採取します。最小数十μm程度の異物を採取することが可能です。
  • 溶解法
    実体顕微鏡下、マイクロマニピュレーターも併用して採取します。最小数十μm程度の異物を採取することが可能です。
  • 断面出し
    精密作業用剃刀刃、超薄切片法(ウルトラミクロトーム)、FIBを使用して断面出しを行います。
方法材料適用性ピンポイント加工加工範囲特徴
ウルトラ
ミクロトーム
主に高分子
硬い試料は不可
約10μm0.2〜0.5mm凍結可
SAICAS主に高分子
硬い試料は不可
約300μm>300μmモニタリング可
FIB有機/無機/複合材料
幅広い材料に適応
約0.1μm>1μmSIM像で観察可
マイクロ
マニピュレーター
主に高分子
硬い試料は不可
約1μm>1μmモニタリング可
3.分析方法
異物の組成や状態を分析します(異物分析に用いられる代表的な分析法を示します)。
方法情報プローブシグナル空間分解能特徴
μ-IR化合物同定
官能基分布
赤外線赤外線20μm大気圧下
短時間で分析可
μ-RAMAN化合物同定
官能基分布
レーザー光ラマン散乱光1μm大気圧下
EDX元素分析
二次元分布
電子線蛍光X線1μm高真空下
短時間で分析可
XPS元素分析
元素状態分析
深さ方向分布
X線光電子10μm超高真空下