分析事例

ラマン分光法による包装袋の定性分析

ここでは、ラマン分光法を用いて包装袋における多層構造の定性分析をご紹介します。
ラマン分析はレーザー径を最小1μmまで絞ることができ、試料サイズが数μmあれば分析が可能で、特に透明試料の分析に有効です。また、IRと同様に化学結合の情報が得られるので、物質の同定を行うことができます。

市販の包装袋の切片を作製して断面観察を行ったところ、4層構造であることが確認されました。

図1 包装袋の光学顕微鏡写真

図1. 包装袋の光学顕微鏡写真

各層のラマン分析を実施した結果、第1層(最外層)および第4層(最内層)はポリエチレンテレフタレート(PET)、第2層はポリエチレン(PE)、第3層(PP)であることが判りました。

図2 各層のラマンスペクトル

図2. 各層のラマンスペクトル

斜め切削装置(SAICAS)とラマン分析を組み合わせて、多層構造フィルムの定性を行うことができます。