分析事例

放散試験(小形チャンバー法)

建物の高気密化・高断熱化に伴い化学物質を用いた建材から発生する揮発性有機化合物(VOC)によって室内空気が汚染され、シックハウス症候群と呼ばれる健康影響を生じさせています。それに伴い、厚生労働省は室内空気汚染に関わる指定物質とその指針値を定めました。
弊社ではJIS A1901:2009に基づき建築材料から放散するVOCの測定を実施しており、2007年6月に小形チャンバー法放散試験でJNLA試験事業者としての登録を受けました。

表1 厚生労働省が定めた室内空気汚染に関わる指定物質とその指針値

化学物質名厚生労働省指針値
ホルムアルデヒド100μg/m3(0.08ppm)
アセトアルデヒド48μg/m3(0.03ppm)
トルエン260μg/m3(0.07ppm)
o−,m−,p−キシレン870μg/m3(0.20ppm)
p−ジクロロベンゼン240μg/m3(0.04ppm)
エチルベンゼン3,800μg/m3(0.88ppm)
スチレン220μg/m3(0.05ppm)
テトラデカン330μg/m3(0.04ppm)
ノナナール※41μg/m3(0.007ppm)
フタル酸ジ−n−ブチル220μg/m3(0.02ppm)
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル120μg/m3(7.6ppb)
クロルピリホス1μg/m3(0.07ppb)
ダイアジノン0.29μg/m3(0.02ppb)
フェノブカルブ33μg/m3(3.8ppb)
TVOC(総揮発性有機化合物)※400μg/m3

※暫定目標値

図1 チャンバー概略図
図1 チャンバー概略図
20L小形チャンバーとシールボックス
20L小形チャンバーとシールボックス

小形チャンバー法放散試験では、一定の放散面積を持つシールボックス(試料ホルダー)に試料をセットしてチャンバーに入れ、恒温・恒湿の清浄空気を流して一定時間後に材料から放散するVOCを吸着管へ捕集し、HPLC及びATD−GC/MSによって定性・定量分析を行います。
その他バッグ法・大形チャンバー法も実施しています。