分析事例

加熱発生ガス分析(1)

加熱発生ガス分析には表1に示す測定方法が主に用いられています。

表1 加熱発生ガス分析方法

測定方法試料形態試料量加熱温度特徴
ヘッドスペース法固体、液体〜数g〜180℃測定が簡便
加熱脱着法固体、液体〜数g〜500℃気体、液体、固体と多様な捕集方法
→目的成分に合わせて選択
ATD-GC/MS固体、(液体)〜500mg〜400℃少量の試料で高感度分析が可能、発生ガスの定量が可能
TG-MS固体、液体〜数mg〜1000℃発生ガスをMSでオンタイムに検出可能。
TG-GC/MS固体、液体〜1mg冷却トラップを経由してGC/MSで測定する
→発生ガスが多成分でもGCカラムで分離し、同定が可能。

(1)ヘッドスペース法

図1 ヘッドスペース法
図1 ヘッドスペース法

試料を密閉容器に入れ、気-液(気-固)分配平衡状態になるまで加熱したあとの気相部をGC,GC/MSに導入する方法で、操作が簡便であることが特徴です。
液体、固体試料に適用が可能で、ポリマー中の溶媒成分等の揮発成分の分析、発泡体中の発泡ガスの分析、食品や水試料中の揮発成分の分析等に適用できます。

(2)加熱脱着法

図2 加熱脱着法
図2 加熱脱着法

試料を管状炉の中に入れて加熱し、発生したガス成分を窒素や空気等でパージしながら捕集します。捕集する化合物の性状に合わせて、テドラーバッグ、液体捕集、固体捕集を選択できます。
500℃までの任意の温度・時間で設定が可能で、ポリマー中揮発成分の分析、樹脂成形時の発生ガス分析、食品の異臭分析などに適用できます。