ヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析法(HS-GC/MS法)は、試料を揮発させて目的物質(揮発性有機化合物) を夾雑物質から分離し、高感度で簡便に分析できる非常に有効な分析方法です。
この分析方法では液体試料、固体試料中の揮発性有機化合物の定性、定量が可能です。
今回は、樹脂中の残存モノマーの分析例を紹介します。
参考分析法
JIS K 7380-1
「プラスチック-塩化ビニルホモポリマー及びコポリマー-残留塩化ビニルモノマーの求め方」
樹脂以外にも様々な材料について分析が可能です。前処理方法は試料の状態によって異なります。その試料に合った最適な前処理方法により分析します。 前処理法の一例と定量下限を表1に示します。
表1 試料形状と前処理法及び定量下限
試料 | 前処理法 | 定量下限 |
---|---|---|
プラスチック及び樹脂 | 試料をN,N’-ジメチルアセトアミドに溶解又は膨潤させて分析(参考:JIS K 7380-1) ※試料を有姿でヘッドスペースバイアルに入れて分析する場合もあり。 | 0.1〜1ppm程度 |
非水溶性物質 | 試料に一定量の既知濃度の標準物質を添加して検量線の系列を作成し分析(標準添加法) ※試料を有姿でヘッドスペースバイアルに入れて分析する場合もあり。 | 10ppb程度 |
水溶性物質 | 試料を水に溶解させて分析 | 0.1〜1ppm程度 |