分析事例

TG-GC/MS法によるポリマーの分解、燃焼挙動の確認

TG-GC/MS法は、TGでの昇温加熱により試料から発生したガスをGCカラムで分離して、MSで定性する方法です。特にポリマーの分解では複数ガスが同時に発生するために、TG-MSでは発生ガス成分の同定を行うことが困難な試料でもTG-GCMS法では複数の発生ガス成分の同定を行うことができます。
今回はヘリウム雰囲気下と擬似空気雰囲気下で、ポリスチレンのTG-GC/MS法による発生ガス定性分析を行った事例を紹介します。
図1、2にそれぞれHe雰囲気下と擬似空気雰囲気下でのTG-DTA曲線を示します。弊社TG-GC/MSでは任意の温度範囲での発生ガスを分析することができます。今回は図1、2の矢印の温度範囲での発生ガス成分の定性を行いました。

測定結果グラフ

また、このときの得られたGC/MS-トータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)を図3、4に示します。

図3
図3 He雰囲気下でのTG-GC/MS測定結果

図4
図4 擬似空気雰囲気下でのTG-GC/MS測定結果

TG-GC/MS測定の結果、He雰囲気下ではトルエン、スチレンモノマー、ダイマー等のポリスチレン分解物が検出されました。擬似空気雰囲気下ではスチレンモノマー、ダイマーの他にベンズアルデヒドやベンゾフェノン等の酸化物が検出されました。
TG-GC/MS法により、TG-MS法では確認できない発生ガス成分の定性を行うことができます。また、測定雰囲気を変えることによって、発生ガス成分の違いを知ることができます。