分析事例

精製タンパク質の分子量測定

タンパク質製剤の研究・開発において、精製・単離したタンパク質が目的のものであるか確認するために精密質量を測定する必要があります。LC-TOF/MSによる精製タンパク質(ミオグロビン)の分子量測定事例をご紹介します。

分析試料

ミオグロビン含有水溶液

分析装置

LC-TOF/MS[ブルカーダルトニクス社製 Maxis 4G]

分析条件

ESI法-正イオンモード フローインジェクション法

分析結果

ミオグロビンをカラム分離し、エレクトロスプレーイオン化法(ESI法)-正イオンモードで測定しました。取得したマススペクトルを図1に示します。m/z600-1500の範囲に10~26価の多価イオンが検出されました。この測定結果をデコンボリューション(演算処理)することにより、ミオグロビンの分子量(16941Da)を求めました(図2)。

マススペクトル

図1. ミオグロビンのマススペクトル

ミオグロビンの分子量(16941Da)

図2. デコンボリューション後のマススペクトル

タンパク質の分子量を求めるためには、分析対象サンプルが精製(分離)可能、または精製後の乾固物(水溶性)であり、1 pmol/μl 以上の濃度が必要です。サンプルの分子量が500KDa以上の場合や精製具合によりイオン化が困難な場合があります。