分析事例

合成ゴム製品の未知硫黄化合物及び窒素化合物の定性分析

合成ゴム製品の臭気原因物質と推定されるS化合物、N化合物について、GC/Q-TOFMS・PFPD(パルスド炎光光度検出器)及びGC/Q-TOFMS・FTD(フレームサーミオニック検出器)を用いた分析を行いました。PFPDはS化合物に、FTDはN化合物に対して高い選択性を持つ検出器です。検出された化合物について、GC/TOFMS (EI法)のライブラリ検索を用いて定性分析を行い、未知化合物についてはGC/Q-TOFMS (CI法、MS/MS)を用いた構造解析を行いました。

実施内容

市販の合成ゴム製品を用い、GC/Q-TOFMS・PFPD、GC/Q-TOFMS・FTDにより分析し、その結果を図1に示します。PFPDクロマトグラム(b)と、EIスペクトルを用いたライブラリ検索による定性分析を行った結果、7成分のS化合物が検出されました。

検出器をPFPDからFTDに切り替えて測定を行った結果、Nを含むS化合物はFTDでも検出されました(c)。ライブラリ検索で構造を決定できなかったPeak1を別途分取GC装置で濃縮し、GC/TOFMS(CI法)による分子イオンの決定(d)と、GC/Q-TOFMS (MS/MS)による構造解析(e)を行いました。その結果、Peak1は(f)に示す構造であると推定できました。

GC/Q-TOFMS・PFPD、 GC/Q-TOFMS・FTD分析結果 (a) TIC (EI法)、(b) PFPDクロマトグラム、(c) FTDクロマトグラム、(d) Peak1 CIスペクトル、(e) Peak1 MS/MSスペクトル、(f) Peak1 推定構造

図1 GC/Q-TOFMS・PFPD、 GC/Q-TOFMS・FTD分析結果
(a) TIC (EI法)、(b) PFPDクロマトグラム、(c) FTDクロマトグラム、
(d) Peak1 CIスペクトル、(e) Peak1 MS/MSスペクトル、(f) Peak1 推定構造

まとめ

GC/Q-TOFMS・PFPD、GC/Q-TOFMS・FTDを用いることで、微量のS化合物およびN化合物の高感度な定性分析が可能です。未知化合物についてはGC/Q-TOFMS (CI法、MS/MS)を用いて構造解析を行うことができます。