分析事例

糖類の分析

食品には糖類が含まれていることがよくあります。その糖類を分離するにはGPCカラムやODSカラム、アミノカラム等がよく用いられます。糖類のUV吸収は非常に小さいため、示差屈折率(RI)検出器、蒸発光散乱検出器(ELSD)を用いて測定する方法がよく用いられます。その他に、糖類をラベル化してUV検出器や蛍光検出器で測定する方法もあります。
ここではRI検出器やELSDを用いて糖の標準品やコーヒー中に含まれる糖を定性・定量した事例を紹介します。

(1)RI検出器を用いた糖類の分析例

RI検出法は試料成分と移動相に屈折率の差を検出する装置で、UV吸収のない成分の検出が可能です。そのため糖類の分析によく使用されます。
図1は単糖、二糖の標準品(グルコース、スクロース等)、図2はオリゴ糖標準品を分析した事例です。

図1 単糖、二糖類標準品の分析例

図1 単糖、二糖類標準品の分析例

図2 オリゴ類標準液の分析例

図2 オリゴ糖標準液の分析例

(2)ELSDを用いた糖類の分析例

ELSD法はカラム溶出液を噴霧して移動相を蒸発後、揮発されずに残存した溶質に光を照射し、その散乱光を検出する装置です。
RI検出法と比較すると、ベースラインが安定しており、検出感度も高いケースが多く、グラジェント分析も可能です。
図3はELSDを用いてオリゴ糖標準液とグルコース、グルコサミン、スクロースを混合し、グラジェント分析(移動相:アセトニトリル/蒸留水=80/20→50/50(v/v))した事例です。1度の分析でグルコース、グルコサミン、スクロース、重合度10までのオリゴ糖を検出することができました。

図3 ELSD検出のグラジェント分析例

図3 ELSD検出のグラジェント分析例

オリゴ糖標準液にグルコース、グルコサミン、スクロースを添加し、グラジェント分析(移動相:アセトニトリル/蒸留水=80/20→50/50(v/v))を行いました。
単糖類を分離後、試料中にDP10(重合度10)までのオリゴ糖が存在しているのことが1度の分析で確認することが可能です。

(3)市販飲料中の糖類の分析例

図4は市販のコーヒー中の糖類を定量した事例です。市販のコーヒー中には糖類以外にミルクやポリフェノール類が含まれています。前処理によりこれらの夾雑物を除去し、RI検出器を用いて糖類を定量しました。コーヒー(ブラック)には糖類として主にマンノース、マンノビオースが含まれ、コーヒー(微糖)には主にスクロースが含まれていることがわかりました。

図4 市販コーヒーの前処理フロー
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図5 コーヒー中の糖類分析例

図4 コーヒー中の糖類分析例