分析事例

製品の「におい」分析

私達の身の回りには40万種の化学物質からなる「におい」が存在します。それら「におい」物質は単独で嗅いだ場合と、複合で嗅いだ場合では相互作用や相殺作用により、その質や強度が大きく変化します。また、「におい」は、分析機器感度よりも、人間の臭覚がより優れている物質が多いため、機器分析による「におい」分析は容易ではありません。
カネカテクノリサ-チでは、2次元GC/MS等による高精度分析可能なスニッフィングGC/MSと訓練されたパネルにより「におい」分析を行っています。

試料のにおい確認

分析に先立ち、パネルがにおいの質と強さを確認します。パネルは嗅覚測定を行う者で、嗅覚試験に合格し臭気分析に関して必要な教育訓練を受けた者です。

においガス発生・捕集条件の検討

におい分析に最適なにおいガス発生・捕集条件を検討し、最適条件を決定します。

写真

TVOC測定

パネルの安全確保のためにおいガスのTVOC濃度を測定します。

においガス発生・捕集

最適条件でにおいガスを発生させ捕集・濃縮します。

スニッフィングGC/MS分析によるにおいピーク選定

捕集されたにおいガスをGCカラムで分離し、2名以上のパネルがにおいの強さと質を加味しにおいピークを選定します。

写真

グラフ

におい成分定性分析

においピークが不分離で定性が困難な場合は、二次元GCによりピーク分離を行った後、再度スニッフィングを行います。臭気ピークが感度不足で定性が困難な場合は、分取GCによりピーク濃縮を行った後、再度スニッフィングを行います。得られた主要臭気成分の定性結果例を表1に示します。

グラフ

表1 主要臭気成分定性結果

Peak #RT (min)定性結果臭気強度
12.04-Ethylstyrene3.3
12.42-Ethylhexanol3.0
12.9Isobutyric acid3.0
14.0Isovaleric acid3.0