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分析事例

模擬臭によるコーヒー香気成分の評価

香気成分の特定にはヒトによる嗅覚評価と機器分析を組み合わせたスニッフィングGC/MS法が有効です。特定された香気成分を分取・混合することで模擬臭を作成し、試料と類似する香りを再現することができます。また、香気成分の組み合わせを変えた模擬臭を作成することで、特定の香気成分が試料の香りにどのような影響を与えているのか、簡便に評価することができます。

分析試料

試料;市販缶コーヒー(無糖ブラック)
におい質;甘味と酸味を感じるコーヒーの香り

分析方法

試料10mLを80℃で30分加熱した後、ダイナミックヘッドスペースGC/MS法でパネル※1により香気主成分の選定を行いました。選定した香気主成分ピークを二次元目GC/MS法によりさらに分離して定性を行いました。模擬臭は、香気成分を分取・混合して作成しました。

※1)パネルとは正常な嗅覚を有し、嗅覚を用いて香りを判定する者です。

分析結果

1. 香気主成分ピークの選定

一次元目-スニッフィング分析により、甘味と酸味を感じるコーヒーの香りを構成する香気成分として5ピーク選定しました。(図1a)参照

2. 香気主成分の定性

Peak1~5の二次元目-GC/MS分析を行い、ライブラリー検索で成分の定性を行いました。主な香気成分は表1の成分と推定されました。

  • グラフ1
    図1 市販缶コーヒーの一次元目
    スニッフィングGC/MS分析結果
  • グラフ2
    図2 市販缶コーヒーの二次元目
    スニッフィングGC/MS分析結果
表1 香気主成分の定性結果
Peak No. 推定成分 においの質
1 2-Methylbutanal
3-Methylbutanal
ナッツ、麦芽臭
2 2,3-Butanedione バター、チーズ、ヨーグルト
3 2,3-Pentanedione バター、チーズ、ヨーグルト
4 Trimethyloxazole コーヒーらしい香り
5 不明 コーヒーらしい香り
3.模擬臭の評価

主な香気成分であるPeak 1~5 を混合した模擬臭1、Peak3 を除いた模擬臭2 を作成しました。
試料そのものと模擬臭1,2 の類似度、においの質を比較しました(表3)。類似度評価は表2 に示す尺度を用いて行いました。作成した模擬臭1 と試料の香りの類似度を嗅覚試験で比較した結果、類似度7.5 となり、試料の香りである「甘味と酸味を感じる香り」を再現できました。また、Peak3を除いて作成した模擬臭2 では、甘い香りが減り、試料の香りとの類似度は低くなりました。
よって、Peak3の2,3-Pentanedioneは試料中の“甘い香り”に大きく影響を与えていると考えられました。

表2 類似度尺度
類似度 類似度評価
10 差異が分からぬほど酷似している
9  
8 非常に類似している
7  
6 結構類似している
5  
4 やや類似している
3  
2 わずかに類似している
1  
0 類似していない
表3 試料と模擬臭の嗅覚評価結果
  試料図
試料
模擬臭1
模擬臭1
模擬臭2
模擬臭2
構成成分 香気主成分すべてPeak1~5 Peak3 を除く香気主成分
(Peak1,2,4,5 で作成)
試料との類似度 類似度7.5 類似度5.5
におい質 甘味と酸味を感じる
コーヒーの香り
甘味と酸味を感じる
コーヒーの香り
酸味の強いコーヒーの香り

まとめ

本手法では、分析対象の試料から簡便に類似度の高い模擬臭が作成できます。また、試料中の香気成 分の組み合わせを変えて模擬臭を作成することで、どの成分が試料の香りにどのような影響を与えてい るのか評価することができます。

一次元目-スニッフィング分析で特定した香気成分を、さらに二次元目-GC/MS 分析を行い定性することで、香気成分の特定もできます。

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