分析事例

SPMによる相分離構造の観察

高分子材料のミクロ相分離構造は、材料の特性に大きく影響するために、その構造を確認することは重要です。走査型プローブ顕微鏡(SPM)では、高分子材料の物性の差から相分離構造を観察することが可能です。本資料では、代表的なブレンドポリマーであるABSとHIPSを例に、相分離構造をSPMの機械特性分析により分析した事例を紹介します。

分析試料

  • ABS(アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)
  • HIPS(耐衝撃性ポリスチレン:ポリスチレン+ブタジエンゴム)

分析条件

SPM(機械特性分析:PeakforceQNMモード)

分析結果

弾性率像において、コントラストが暗く弾性率が低い相がブタジエンゴム相を示しており、図1のABSでは、ブタジエンゴムを島、AS樹脂を海とする海島構造が確認されました。図2のHIPSでは、サラミ構造のブタジエンゴムがPS樹脂中に分散した構造が確認されました。

図1 ABSの弾性率像(左:10×10μm、右:2×2μm)

図2 HIPSの弾性率像(左:10×10μm、右:5×5μm)