熱重量測定(TG)は、試料を一定速度で加熱しながらその重量変化を連続的に測定します。一方、示差熱分析(DTA)は、基準物質とともに試料を加熱したときの両者の温度差の変化を測定します。TGとDTAを同時に測ること(TG-DTA)によって試料の熱的変化を推定することができます。たとえば昇温によって引き起こされる試料の分解、酸化、脱水、昇華などの重量変化と熱変化(吸熱又は発熱)を伴う現象を観測することが可能です。
ここでは、樹脂・高分子材料のTG-DTAの事例として、汎用プラスチックのひとつであるポリエチレンテレフタレート(PET)を加熱したときに起きる分解の挙動(熱分解挙動)を観測した結果を紹介します。
ポリエチレンテレフタレートを昇温加熱した際のTG-DTAの結果(TG-DTA曲線)を図1に示します。なお測定は空気雰囲気及び窒素雰囲気で実施しています。
空気雰囲気及び窒素雰囲気ともに、255℃付近に融解による吸熱ピークが認められます。空気雰囲気では酸化分解による発熱ピークが見えており、分解は2段階で進行し全量が分解されます。一方、窒素雰囲気では酸化分解が進行しないため、残渣が残ってしまうことが判ります。