分析事例

においとは

図 鼻から入ったにおい分子は、鼻腔内の天井部にある嗅粘膜へ吸着します。
におい分子は嗅粘液に溶け込み、においセンサータンパク(嗅覚受容体)がある嗅細胞へと運ばれていきます。におい分子を検出し識別するために“嗅覚受容体“は、それぞれ構造の違う鍵穴のような構造を持っており、この鍵穴にうまくフィットするような構造をしたにおい分子あるいはそのような構造を一部にもったにおい分子だけに反応します。つまり、におい分子の構造と嗅覚受容体の鍵穴構造が一致した時に、においを検出できると言われています。ヒトは約400種類の嗅覚受容体を持つといわれています。その組み合わせは無限にあり、そのため数十万種類あるといわれるにおい物質を嗅ぎ分けることができるのです。

においの特性

においは固体や液体で存在する物質であっても、気体状態で人の鼻腔に到達してにおいを感じることができることから、におい成分の特定にはGC/MS分析が有効です。しかし、においには次に示すような特性があり、におい分析を複雑化しています。

★におい成分の濃度とにおいの強度は比例しない

成分によっては、わずかな量でも強いにおいを有するものもあります。たとえは、メチルメルカプタンではアセトン閾値濃度の60万分の1の量であっても硫黄臭を呈します。又、人間の嗅覚は極めて敏感なセンサーであり、GC/MS分析において、においは感じるがピークが検出されない場合が多々あります。

成分名閾値GC/MS検出下限
メチルメルカプタン0.07ppb数10ppbレベル
アセトン42000ppb

閾値=においを感じる最小濃度

★異性体によるにおいの違い

メントールはハッカ臭として知られていますが、ハッカ臭がするのはL-Mentholのみであり、異性体のd-体にはそのような独特な香気と清涼な味はなく、不快臭がします。

図

★におい成分の濃度とにおいの強度は比例しない

成分によっては、わずかな量でも強いにおいを有するものもあります。たとえは、メチルメルカプタンではアセトン閾値濃度の60万分の1の量であっても硫黄臭を呈します。又、人間の嗅覚は極めて敏感なセンサーであり、GC/MS分析において、においは感じるがピークが検出されない場合が多々あります。

成分名低濃度高濃度
スカトール清涼感のある香りスカンク臭

高濃度の場合は、低濃度では応答性を示さなかった嗅覚受容体も応答性を示すため、受容体の組み合せが変化して、においの質が変化すると考えられています。

★複合臭によるにおい質の違い

においの混合(組み合わせ、濃度バランス)により、全く別のにおいに感じたり、においの感じ方が変わることを変調とよび、日常感じる臭気も単一物質より複合臭を嗅いでいることが多いです。GC/MS分析した場合、複数のにおい成分が検出され、これらの組み合わせで臭気の原因となる事が多くあります。

におい分析

弊社では、これらのにおいの特性に対応した分析を行うため、機器分析とヒトの嗅覚評価を加えたスニッフィングGC/MS分析により、成分の定量・定性だけでなく、臭気判定士による、においの特性を考慮した測定を行っております。