混合試料において、T2フィルターを利用したNMR測定を実施すると、緩和時間の短い成分由来の信号を低減し、緩和時間の長い成分由来の信号を強調することができます。一般的に、高分子成分の緩和時間に比べ、低分子成分の緩和時間は長いため、低分子の添加剤を含んだ高分子材料の測定などに有用です。以下にポリスチレン(PS)と添加剤(セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル))の混合試料(クロロホルム-d溶液)の測定例を示します。
(c)のT2フィルターを用いた測定では、PSの幅広いシグナルが低減され(特に1.2~2.0ppmの領域)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)のシグナルが強調されています。