
NMR(Nucler Magnetic Resonance)の原理は1万〜数十万ガウスの強磁場中で歳差運動をする核スピンに外部磁場としてラジオ波を照射することにより生じるエネルギー吸収(共鳴)を観測するものです。
試料を磁場中におくと、その中のスピンを有する核は2つ以上のエネルギー順位に分裂します。このエネルギー差が共鳴エネルギーに相当し、物質の化学構造を反映します。化合物中の注目する核の周囲の化学的環境、すなわち電子密度分布状態や隣接核の小磁場による遮蔽効果の違いから、その共鳴周波数に微小な差異が生じ、それは化学シフトとして構造解析のための基本的情報パラメーターになります。FT−NMRにおいては外部照射するラジオ波はある周波数範囲を網羅するパルス波として与えられ、得られる自由誘導減衰(FID)信号をフーリエ変換することによって周波数に変換されたスペクトルを取得できます。また、スピン−スピン結合によるシグナルの分裂から原子相互の位置関係がわかり、シグナル強度が原子数・濃度を反映するため、化合物の同定や定量が可能です。本装置は以下のような特徴を有します。