分析事例

ポリイミドの熱分解(熱酸化分解)ガス分析
(TG-GC/MS)

TG-GC/MS(熱重量-ガスクロマトグラフ質量分析)法は、試料のTG-DTA(熱重量示差熱分析)測定で発生したガスをトラップしてGC/MS分析する手法であり、室温(25℃付近)から1,000℃までの任意の温度範囲における発生ガスを詳細に定性分析することができます。本資料では不活性ガス(He)雰囲気下と擬似空気雰囲気下(He:O2=4:1)でポリイミドを分析し、熱分解(熱酸化分解)時に生成するガスを定性した事例を紹介します。

分析試料

  • ポリイミド(PI)フィルム

分析装置

  • TG-DTA:Rigaku製Thermo plus EVO2
  • GC-MS:Agilent製8890GC/ 5977B Inert Plus

分析結果

PIフィルムをHe雰囲気下および擬似空気雰囲気下で30℃~800℃まで昇温加熱し、熱分解(熱酸化分解)した際に生成するガスを全量捕集し、GC/MS分析を行いました。得られたTG-DTA曲線を図1および2に示し、GC/MS-トータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)を図3および4に示します。He雰囲気下では熱分解生成分であるAnilineやPhenol、Benzonitrile等が検出され、擬似空気雰囲気下ではCO2およびNO2が検出されました。


  • 図1 TG-DTA曲線(He雰囲気下)

  • 図2 TG-DTA曲線(擬似空気雰囲気下)

  • 図3 GC/MS-TIC(He雰囲気下)

  • 図4 GC/MS-TIC(擬似空気雰囲気下)

まとめ

TG-GC/MS法では室温(25℃付近)から1,000℃までの温度範囲で試料からの発生ガスを定性することができます。また、測定雰囲気も不活性ガス(He)と擬似空気から選ぶことができるため、使用環境の酸素の有無を模した分析が可能です。