分析事例

2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)誘導体化アルデヒド類の分析

液体クロマトグラフィーとは、内部に液体(溶媒)が流れる細い管(カラム)に試料を導入し、カラム内で試料中の化合物を分離する手法です。カラムで分離した成分を検出器に送り、試料の成分・濃度に関する情報を検出します。液体クロマトグラフィーの中でも、高圧ポンプを使ってカラムへ送液することで分析時間の大幅な短縮を可能にしたものを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と呼びます。超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)は高圧での送液というHPLC の概念はそのままに、より高速・高分離・高感度分析を実現しています。
当社では、UPLCを用いて、移動相流量を上げることで超高速分離を可能とした。従来HPLC分析よる1サイクルが60分間であった2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)アルデヒド誘導体の分析が12分間で終了し、ピークもシャープになるため同時に高感度化も図れた事例を紹介します。

1. HPLCを用いたアルデヒドの分析例

図1は、16種のアルデヒド混合標準液(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アクロレイン、アセトン、イソブチルアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、ベンズアルデヒド、o-トルアルデヒド、m-トルアルデヒド、2,5-ジメチルベンズアルデヒド)について、DNPHアルデヒド専用カラム、専用移動相を使用してHPLCよるグラジェント分析をした事例です。
いずれのアルデヒドも分離良く検出できていますが、分析1サイクルが60分間と時間がかかります。

図1:HPLCを用いたアルデヒドの分析クロマトグラム
図1:HPLCを用いたアルデヒドの分析クロマトグラム

2. UPLCを用いたアルデヒドの分析例

図2は、前記HPLC同様に16種のアルデヒド混合標準液についてC8カラムを使用してUPLCよるグラジェント分析をした事例です。
HPLC法と比較すると、ベースラインが安定しており、検出感度も高く、何より分析1サイクルが12分間と5分の1に短縮が図れた。UPLC用のDNPHアルデヒド専用カラムが存在しないため、トルアルデヒドの異性体(m-、p-)の分離は困難でしたが、その他のアルデヒドはピークもシャープになるため時間短縮と同時に高感度化も図れた。

図2:UPLCを用いたアルデヒドの分析クロマトグラム
図2:UPLCを用いたアルデヒドの分析クロマトグラム

3. 当社所有のUPLCの紹介

装置Waters
ACQUITY UPLC
H-Class
フォトダイオードアレイ
(PDA)eλ検出器
広い濃度範囲で紫外から可視領域に吸収を持つ成分を
検出する検出器。(波長範囲190から800nm )
2Dおよび3D同時測定が可能。
蛍光(FLR)検出器特定の励起波長を当てて蛍光波長を測定する検出器。
PAH(多環芳香族炭化水素)、薬物乱用、およびビタミンなど
蛍光やリン光などの化学発光を有する成分の分析が可能。
2Dおよび3D同時測定が可能。

表1:当社所有UPLC仕様

写真1:当社所有UPLC写真
写真1:当社所有UPLC写真