分析事例

合成ゴム製品の微量硫黄臭気成分の分析

悪臭の原因物質となる硫黄化合物は閾値が低い物質が多く、GC/MS分析のみでは特定は困難です。Q-TOFMS(四重極飛行時間型質量分析装置)、PFPD(パルスド炎光光度検出器)、におい嗅ぎ検出器(スニッフィング)の同時測定が可能であるスニッフィングGC/Q-TOFMS・PFPDを用いることにより、微量硫黄臭気成分の特定が可能となりました。

実施内容

試料に市販の合成ゴム製品を用いた、スニッフィングGC/Q-TOFMS・PFPD測定結果を図1に示します。合成ゴム製品より複数のピークが検出され(図1(a))、そのうち7成分が硫黄化合物であることが分かりました(図1(b))。硫黄化合物のうち3成分に臭気があり(図1(c))、これらが合成ゴム製品の臭気原因物質と推定されました。

7つの硫黄成分について、ライブラリ検索による定性分析を行いました。ライブラリに一致しなかったPeak1(焼けたゴム臭)については、GC/Q-TOFMS CI法により分子イオンを決定し(図1(d))、MS/MSにより構造解析を行いました(図1(e))。その結果、ピーク1は図1(f)に示す構造と推定されました。

スニッフィングGC/Q-TOFMS・PFPD 測定結果 (a) TOFMS(EI法)、トータルイオンクロマトグラム(TIC)、(b) PFPDクロマトグラム、(c) におい嗅ぎ検出器のにおいシグナル、(d)Peak1 CIスペクトル、(e) Peak1 MS/MSスペクトル、(f) Peak1 推定構造

図1 スニッフィングGC/Q-TOFMS・PFPD 測定結果 
(a) TOFMS(EI法) トータルイオンクロマトグラム(TIC)、(b) PFPDクロマトグラム、
(c) におい嗅ぎ検出器のにおいシグナル、(d)Peak1 CIスペクトル、
(e) Peak1 MS/MSスペクトル、(f) Peak1 推定構造

まとめ

スニッフィングGC/Q-TOFMS・PFPD (EI法、CI法、MS/MS)により、合成ゴム製品から発生する微量硫黄臭気成分の選定、定性分析および未知化合物の構造解析を行いました。その結果、臭気原因物質3成分を含む7つの硫黄化合物を特定する事ができました。