小角X線散乱(SAXS)分析で評価可能な項目の1つにナノ粒子の粒度分布があります。
SAXSによる粒度分布解析は、個々の粒子形状を視覚的に捉えることはできませんが、液体や厚みのある試料もそのままの状態で分析できる特長があります。ここではSAXSによるナノ粒子の粒度分布解析事例を紹介します。
金ナノコロイド溶液、酸化チタンナノ粒子(粉体)
SAXS(CuKα線)
金ナノコロイド溶液のSAXS分析結果を図1、2に示します。
SAXS分析で得られた金ナノ粒子の粒度分布は、TEM像(図3)の画像解析で得られた粒度分布(平均18nm)とよい一致を示しました(図2)。
酸化チタンナノ粒子のSAXS分析結果を図4、5に示します。
粒子が凝集している場合、一般的な前処理でTEM観察を行うと、図6のように粒子の重なりの影響のため、画像解析で粒度分布を評価することは困難です。このように粒子が凝集している場合でも、SAXS分析では複雑な前処理を行うことなく測定し、一次粒子の粒度分布を評価することが可能です。