分析事例

SAXSによるインク中顔料の粒度分布解析

顔料インクは、色やインクの種類によって顔料の粒子形状や粒子サイズが異なります。粒子サイズはインクの隠蔽力や着色力などの諸物性に影響することから、顔料の粒子サイズの評価は重要です。
ここでは、色(顔料の種類)が異なる顔料インクについて、小角X線散乱(SAXS)により顔料の粒度分布解析を行った事例を紹介します。

分析試料

顔料インク(シアン、マゼンタ、ブラック)
ガラスキャピラリー内に顔料インクを密封(図1)

  • 図1 金ナノ粒子のSAXSプロファイル
    図1 試料写真

分析方法

SAXS(CuKα線)

分析結果

測定によって取得されたSAXSプロファイル(図2)から、顔料の形状を球近似した場合の粒度分布が算出されました(図3)。この結果、各色の顔料の粒子サイズが分かり、各色で粒子サイズを比較すると、シアンとマゼンタは同等の大きさで、ブラックはシアンとマゼンタより小さいことが確認されました。

  • 図2 SAXSプロファイル(挿入図は顔料のTEM像)
    図2 SAXSプロファイル
    (挿入図は顔料のTEM像)
  • 図3 粒度分布
    図3 粒度分布