分析事例

LDI-MSによるインク成分のイメージング質量分析

顔料などの色素はイオン化しやすいため、イオン化支援剤を用いない、LDI-MS(レーザー脱離イオン化質量分析)法で簡便に分析することができます。ここでは、LDI-MS法による印刷物中の顔料分析についてご紹介します。

分析試料

  • カラー印刷物

分析方法

カラー印刷物をITOスライドガラスに固定し、空間分解能100μmでLDI-MS法によるイメージング質量分析を行いました。

分析結果

1~4までの数字を黒、ピンク、青、黄色で印字したところ、1の右側が青く写っていました(図1)。そこで、青で印字した顔料(ピグメントブルー15)(図2)の質量電荷比(m/z575)に着目し、図1下段に示すm/z575のイメージング像を得ました。
その結果、数字1は右側にしか青色顔料がないことがわかり、黒の印字は、青色顔料と他の色を混ぜて作られたのではなく、印字の際に右側に青色顔料がわずかににじんでできたものだとわかりました。
イメージング質量分析では、試料中の成分の局在を可視化することで、微小部位の比較や不良の原因分析にも活用できます。


図1 カラー印刷物(上段:写真、下段:m/z 575のイメージング像)


図2 青色顔料ピグメントブルー15