ラマン分光法の特徴の1つとして、高分子化合物中の結合(C=CやS-Sなど)由来のピーク変化が赤外分光法(IR)よりも明確に現れることが知られています。
本事例では、UV硬化樹脂の結合の変化による硬化反応の評価事例をご紹介します。
He-Neレーザー(633nm)
一般的にUV硬化樹脂の反応は、UV照射により光開始重合剤が分解、ラジカルを生成し、ラジカルの攻撃によりアクリレートのC=Cが減少すると考えられています(図1)。
UV照射時間(0分、2分、5分、10分)を変えたUV硬化樹脂のラマンスペクトルから、照射時間が長くなるにつれてC=C(1640cm-1付近)のピーク強度が減少していることが確認され、硬化反応が進行していることが判りました(図2)。
このように、ラマン分光法では特徴的な官能基に着目して、硬化反応のモニタリングを行うことができます。
図1 UV照射に伴う反応機構
図2 各UV照射時間でのUV硬化樹脂のラマンスペクトル