分析事例

XRDによる瓦の定性分析

瓦をはじめとするセラミックス製品(窯業製品)は、構成する化合物によって特性が大きく異なります。特に、瓦は天然の粘土を用いており、成分が均質化されていないことから、製品の詳細を把握する上で無機化合物の構成を明らかにすることは重要です。
ここでは、X線回折(XRD)により瓦を構成する無機化合物を同定した事例を紹介します。

分析試料

分析方法

XRD(CuKα線;Bragg-Brentano光学系(集中法反射)、半導体検出器)

分析結果

XRD測定によって取得された回折パターンを図1上側に示します。この回折パターンをライブラリ(ICDD PDF-2)検索した結果、当該試料は石英、ムライト(酸化アルミニウムと二酸化珪素の化合物)、赤鉄鉱、クリストバライト(方珪石)から構成されていることが示されました(図1下側参照)。

図1 回折パターンとライブラリ検索結果
図1 回折パターンとライブラリ検索結果

XRD分析法は、各種セラミックス製品や遺跡からの出土品などに含まれる無機化合物の同定に有用です。