分析事例

ハードコート中のナノシリカの分散状態の評価(TEM)

スマートフォンなどに使用されるディスプレイやレンズには、耐擦傷性や耐摩耗性を向上させるために、ハードコート(以下HC)が用いられています。このHCに添加されるナノ粒子の状態がこれらの性能に大きく影響することが知られています。本資料では、機械特性(SAICASにより検出される垂直力)の異なるHCを電子顕微鏡により観察した事例を紹介します。

分析試料

  • 機械特性値分布の異なるHC 2種類
図1 HCの機械特性 a:機械特性値が均一、b:機械特性値分布が均一でない グラフ

図1 HCの機械特性 a:機械特性値が均一、b:機械特性値分布が均一でない

分析方法

ウルトラミクロトームにより観察試料を作製し、TEM観察を実施しました。
(ウルトラミクロトーム:ライカ製UC7、TEM:日立ハイテク製H-7650)

分析結果

HC中のナノシリカの分散状態を観察した結果を図2に示します。試料(a)では、微細なナノシリカがほぼ均一に分散しており、試料(b)では、1μm程度に凝集したナノシリカが表面側に偏在していました。

図2 HCのTEM 像

図2 HCのTEM像

このように断面TEM観察を行うことで、機械特性の異なる原因を推定することができます。