分析事例

PFPDによる市販ビール中の硫黄化合物分析

硫黄化合物は風味や香りに影響を及ぼすため、ビール系飲料ではオフフレーバーとして知られており、高感度での検出が求められています。しかしながら、飲料中には多数の香気成分が含まれることから、その中から微量な硫黄化合物を特定するには難しい場合があります。パルスド炎光光度検出器(PFPD)は硫黄化合物の検出感度が高いという特徴があり、この検出器を用いた分析事例をご紹介します。

分析試料

  • 市販ビール 4種

分析方法

  • ダイナミックヘッドスペース(DHS)-GC/MS/PFPD法(Agilent社製 7200Bシリーズ)

分析結果

試料をDHS-GC/MS/PFPD分析に供しました。得られたクロマトグラムを下図に示します。A社のMS(a-1)とPFPD(a-2)のクロマトグラムを比較すると、例えば、ピークNo.2はMSクロマトグラムでは強度が小さく、PFPDクロマトグラムでは強度が大きく検出されました。このようにPFPDでは、硫黄化合物ピークを選択的に抽出することができました。また、各試料から下表に示す硫黄化合物が検出されましたが、そのピークパターンは異なり、それぞれに特徴があることがわかりました。

DHS-GC/MS/PFPDクロマトグラム
図1 DHS-GC/MS/PFPDクロマトグラム
表 PFPDピーク定性結果
ピークNo. 推定化合物
1 Methanethiol
2 Methylthiolactone
3 S-Ethyl ethanethioate
4 Thiazole
5 Dimethyl sulfoxide
6 3-Methylthio-1-propanol

※B社(b)のみピークNo.3の化合物については不検出

まとめ

本分析法により試料に含まれる微量硫黄化合物を検出し、風味や香りの影響を把握することが可能です。