分析事例

コーヒーのリアルタイム香気分析(SIFT-MS)

マルチ反応リアルタイム質量分析計(SIFT-MS)は食品や飲料を口に入れる前に鼻で感じる香り(オルソネーザルアロマ)やそれらを口に含み、嚥下した際に鼻から抜ける香り(レトロネーザルアロマ)をリアルタイムにppbオーダーで定量することができます。本資料ではコーヒーのオルソネーザルアロマとレトロネーザルアロマをSIFT-MSを用いて評価した事例を紹介します。

分析試料

  • 市販のドリップコーヒー

分析装置

  • SIFT-MS:Syft社製

分析結果

SIFT-MSを用いてコーヒーのオルソネーザルアロマとレトロネーザルアロマを測定しました。コーヒーの代表的な香気成分のうち、PhenolとPyridineを定量した結果を図1および2に示します。オルソネーザルアロマ分析ではドリップ直後から、PhenolとPyridineが香り立つ様子を捉えることができました。ドリップ開始から約100秒間の各成分の平均濃度はPhenolが62ppbであり、Pyridineが152ppbでした。レトロネーザルアロマ分析では、いずれの成分も嚥下直後に最も高い値を示し、嚥下直後の呼気の平均濃度はPhenolが1.7ppbであり、Pyridineが7.7ppbでした。また、嚥下後約150秒間で各成分の濃度は減衰するものの、香りの余韻を捉えることができました。


  • 図1 コーヒードリップ時のオルソネーザルアロマ

  • 図2 ドリップコーヒーのレトロネーザルアロマ

まとめ

SIFT-MSを用いたリアルタイム分析では、コーヒーなどの嗜好品からの香り立ちや飲んだ後の余韻に関わる成分を捉えることができます。また、香気成分のppbオーダーでの定量が可能です。