分析事例

飲料における香気成分の簡易定性・定量
(Aroma Office 2D・SIFT-MS)

飲料に含まれる香気成分は微量ながら、風味や余韻に大きく影響します。これらの成分を的確に捉えるため、香気成分データベースであるAroma Office 2Dによる自動定性とppbオーダーで揮発成分をモニタリングできるSIFT-MSを組み合わせた簡便な分析方法をご紹介します。

分析試料

  • レモンサワー(アルコール度数 3%)

分析結果

ダイナミックヘッドスペース(DHS)-GC/MS法によりレモンサワー中の香気成分を分析し(図1)、Aroma Office 2Dにて自動定性を行いました。その結果、約120種類の香気成分がレモンサワー中に含まれていました。
一方、レモンサワーを開封した際の官能評価を行った結果は『甘酸っぱい花のような香り』でした。そこで、このにおいの質を連想させる化合物4種をAroma Office 2Dでの定性結果から選定し(図1の1,2,3,4)、レモンサワーのオルソネーザルアロマ(鼻先で感じる香り)をSIFT-MSで定量しました。結果を表1に示します。さらに、SIFT-MS分析ではこれらの成分がレモンサワーの開封直後から香り立つ様子を捉えることができました(図2)。

グラフ
図1 GC/MS-トータルイオンカレントクロマトグラム
グラフ
図2 SIFT-MSによる定量結果
表1 官能評価でのにおいの質を連想させる成分の定性結果およびSIFT-MSによる定量結果
ピークNo. RT(min) 面積 化合物名 DBとの
一致率(%)
においの質 定量結果(ppbv)
1 7.7 426227 2-Methyl-3-buten-2-ol 89 floral 2.3
2 8.8 5744895 Isoamyl acetate 99 banana 8.9
3 12.2 13482364 Ethyl octanoate 96 apple 4.7
4 15.6 363792 Phenylethanol 99 floral 8.0

まとめ

Aroma Office 2D とSIFT-MSを組み合わせることで、飲料における微量香気成分の定性および定量を簡便に行うことができます。