“オフフレーバー”とは食品内部の劣化や包装材からの成分移行などにより生じる異臭であり、商品の価値を著しく低下させる要因となります。オフフレーバーの原因となる成分はいずれもppt~ppbオーダーと閾値が低く1)、微量でも品質に影響を及ぼします。そのため、これらの成分を検出・定量するには、ppt~ppbオーダーでの分析が求められます。
今回はバナナから僅かにカビ臭が感じられたため、ワインのコルク臭や清酒のカビ臭の原因物質として知られている2,4,6-トリクロロアニソール(TCA、図1)2)に着目し、SIFT-MS(マルチ反応リアルタイム質量分析計)で定量した事例をご紹介します。
10Lのテドラーバッグにバナナ一房と高純度窒素ガスを入れて、約24時間室温で放置しました(図2)。その後、バッグ内のTCA濃度を約10分間SIFT-MSで測定しました。結果を図3に示します。この結果、バッグ内におけるTCAの平均濃度は10ppbvであり、微量なTCAを濃縮などの複雑な前処理を行うことなく、定量することが出来ました。
SIFT-MSでは濃縮などの複雑な前処理を行うことなく、微量揮発成分を定量することができ、商品のオフフレーバーの評価等に活用できます。