分析事例

化粧品中の無機成分分析(XRD、SAXS)

化粧品に含まれる微粒子は、紫外線防御、色調調整、感触改善といった製品性能を支える重要な役割を担っています。製品性能は、無機成分の種類、濃度、粒子サイズの影響を強く受けることから、これらを明らかにすることは、製品の特性を把握する上で重要です。ここでは、X線回折(XRD)および小角X線散乱(SAXS)により、日焼け止めクリームに含まれる無機成分の定性、定量、粒度分布解析の事例を紹介します。

分析試料

  • 市販の日焼け止めクリーム

分析条件

  • XRD、SAXS(CuKα線):Debye Scherrer光学系(透過)
    (クリーム状態のまま分析に供しました。)

分析結果

1. XRDによる無機成分の化合物定性、定量分析

日焼け止めクリームのXRDプロファイルを図1に示します。化合物定性の結果、無機の結晶成分は酸化亜鉛、タルク、ルチル型酸化チタンであることが分かりました(図1)。さらに、これらの無機成分のうち、酸化亜鉛とルチル型酸化チタンを内部標準定量法により定量したところ、日焼け止めクリームに占める重量濃度はそれぞれ10wt%、1wt%であることが分かりました。

図1

図1 日焼け止めクリームのXRDプロファイル

2. SAXSによる微粒子の粒度解析

日焼け止めクリームのSAXSプロファイルを図2に、フィッティング解析から求めた粒度分布を図3に示します。上記の定量分析の結果、微粒子のうち、ルチル型酸化チタンは微量であったことから、図3は酸化亜鉛の粒度分布と判断されます。粒度分布から、日焼け止めクリーム中の酸化亜鉛粒子の平均値は約20nmであることが分かりました。SAXSによる粒度解析では、大きさが約100nmまでの粒子の分布を調べることが可能です。

図2

図2 日焼け止めクリームのSAXSプロファイル

図2

図3 酸化亜鉛の粒度分布

まとめ

XRDとSAXS分析を行うことで、微粒子の定性、定量、粒度分布を評価することができます。また、日焼け止めのようなクリーム状の試料だけでなく、粉体や溶液といった様々な試料形態に対応できるため、原材料の評価から開発段階の材料評価、製造後の品質評価、さらにはトラブル発生時の原因解析まで、幅広い用途でご活用いただけます。