分析事例

ポリイミドの熱分解時に発生するH2の定量
(TG-MS)

TG-MS(熱重量-質量分析)法は、TG-DTA(熱重量示差熱分析)測定中に発生したガスをオンラインでMS(質量分析計)へ導入し、分析する手法です。これより、試料の熱分解挙動、発生ガス種、および発生温度範囲の情報を得ることができます。さらに、標準物質で検量線を作成することで、発生ガスの定量も可能です。しかしながら、H2は一般的にGC-MSでの測定が難しいため、TG-MSにおいても評価が難しいといわれています。本資料では、測定条件の適正化により、H2の発生挙動の把握および定量が出来た事例として、ポリイミドの熱分解過程で発生するH2をTG-MSにより定量した事例を紹介します。

分析試料

  • ポリイミド(PI)フィルム

分析装置

  • TG-DTA:Rigaku製Thermo plus EVO2
  • GC-MS:Agilent製8890GC/ 5977B Inert Plus

分析結果

He雰囲気下において、分析試料を室温(35℃付近)から1,000℃まで昇温加熱(20℃/min)し、560~1,000℃の温度範囲で発生したH2をTG-MS法により定量しました。H2に特徴的なイオン(m/z 2)を用いてSIMイオンサーモグラムを作成した結果(図1)、H2は800℃付近をピークトップとして分析試料の重量に対して0.65wt%発生していました。この温度範囲で進行する炭素化反応に伴い、H2の脱離が生じていると考えられます1)

表1 TG-MS法による分析試料から発生したH2の定量結果 (単位:wt%)
発生温度範囲 Entry1 Entry2 Mean
560~1,000℃ 0.669 0.635 0.65
グラフ
図1 分析試料のTG曲線およびSIMイオンサーモグラム

まとめ

測定条件の適正化により、樹脂材料から発生するH2,CO2等の発生ガスのモニタリングや定量が可能となります。

参考文献

  • 1)  村上 睦明,太田 雄介, PMDA-ODA型芳香族ポリイミドの熱分解機構,炭素前駆体構造とグラファイト化反応, 炭素,2012年,No.251,p.2–10.