分析事例

絶縁体の高分解能観察

従来の走査型電子顕微鏡(SEM)で絶縁体試料を観察しようとすると、走査された電子線により試料表面が帯電し、観察画像がノイズで乱れたり、異常コントラストが発生したりします。そのため、試料表面に金属をコーティングして帯電しないように前処理を施す、といった導電処理を行っていました。しかし、コーティング物質で最表面が被覆されるため、試料本来の極表面構造が観察できず、組成分析の精度が低下するといった問題があります。
ここでは、不活性ガスを局所的に噴射し、表面の帯電を除去するチャージコンペンセイション機能を用いることによって、導電処理を行わずに絶縁体の観察や分析を行うことが可能となりました。

チャージコンペンセイション機能(帯電除去)

チャージコンペンセイション機能(帯電除去)

形態観察結果

ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に導電性処理を施さず、観察しました。

チャージコンペンセイション:OFF
チャージコンペンセイション:OFF
チャージコンペンセイション:ON
チャージコンペンセイション:ON

チャージコンペンセイション機能を用いない場合は、帯電により観察像にノイズや異常コントラストが発生しますが、チャージコンペンセイション機能を用いることにより、帯電を抑制し、試料本来の像を得ることができます。