対照品との比較により、良品/不良品の差、製品のLot間差、時間による成分の増加・減衰を見つけることができる手法です。LC-TOFMSによる測定を実施した後、それぞれのマスクロマトグラムから差のある成分を抽出し、その成分の組成式(構造)を推定します。
[市販ペットボトルお茶2種の差分分析] お茶A:カテキンガレート強化、お茶B:通常のお茶
市販ペットボトルのお茶2種(A,B)をフィルターろ過後、LC-TOF/MS、ESI法-負イオンモードにより測定を行い、取得したデータについて差分分析を実施しました。[解析ソフト:metabolitetoolを使用]
差分分析結果の例を示します。上段がサンプル、中段がリファレンス(対照品)、下段が差分のマスクロマトグラムになります。5つの成分が差のある成分として抽出されました。
抽出された成分は解析の結果以下のようになりました。
# | RT[min.] | m/z | 推定組成式 | 推定成分名 |
---|---|---|---|---|
1 | 0.68 | 209.03 | [M-H]-;C6H9O8 | - |
2 | 0.68 | 387.11 | [M+HCOO]-;C13H23O13 | 二糖+ギ酸付加 |
3 | 2.61 | 337.09 | [M-H]-;C16H17O8 | p-クマロイナルキナ酸 |
4 | 3.93 | 771.20 | [M-H]-;C33H39O21 | - |
5 | 4.16 | 441.08 | [M-H]-;C22H17O10 | エピカテキンガレート |
試料間で最も差のあった成分#5はエピカテキンガレートであることがわかりました。
この結果は、お茶Aがガレートカテキンを強化したお茶であることと一致していました。