当社では、ダイオキシン類分析を1999年のダイオキシン類対策特別措置法施行前の1985年から開始し、25年以上の実績,豊富な経験があります。
排ガス・灰・環境大気・作業環境・水質・底質・土壌だけでなく、食品(魚介類など)・化学製品などの広範囲な試料についての分析経験もあります。
豊富な経験と実績を基に、お客様の様々なご要望にお応えいたします。
特定計量証明事業者認定制度(MLAP)(※)の「特定計量証明事業者」の認定を兵庫県第1号で取得し、ダイオキシン類分析の各種サンプリングから分析、報告までを一貫した品質管理、精度管理体制にて行っています。(お客様にてサンプリングを行われた試料にも対応可能です)
環境省のダイオキシン類環境測定調査受注資格審査も合格しております。(対象:公共用水域水質、排出ガス)
また、(一社)日本環境測定分析協会及び極微量物質研究会(UTA研)に所属し、環境化学討論会など各種学会・講演会に参加し、常に最新情報を収集しています。
さらに、各種クロスチェックに参加し、技術力の維持・向上につなげております。
※ 特定計量証明事業者認定制度(MLAP):ダイオキシン類などの極微量物質に関する計量証明の信頼性向上を図るため、2001年6月の計量法改正により導入された認定制度で、認定を取得していない事業所は、ダイオキシン類の計量証明を事業として行うことができません。
ダイオキシン類は、ポリ塩素化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)、ポリ塩素化ジベンゾフラン(PCDF)、ダイオキシン様ポリ塩素化ビフェニル(DL-PCB)の総称です。毒性評価の対象は、表1に示した極めて強い毒性を示す2,3,7,8の位置に塩素置換したPCDDの7種類、PCDFの10種類、及び4塩素化体から7塩素化体のPCBの内、オルト位に塩素が無いまたは1個の塩素が置換したDL-PCBの12種類です。毒性評価は、分析値と毒性等価係数(TEF)より毒性当量(TEQ)として算出されます。これらは化学物質の合成や塩素処理、廃棄物の焼却過程等で非意図的に生成されるもので、残留性有機汚染物質(POPs)や環境ホルモン(外因性内分泌攪乱化学物質)としても注目されています。
表1 ダイオキシン類の化学構造と毒性等価換算係数
ダイオキシン類 | ||||||
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ポリ塩素化ジベンゾ パラジオキシン (PCDD) | ポリ塩素化ジベンゾフラン (PCDF) | ダイオキシン様ポリ塩素化ビフェニル (DL-PCB) |
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化学構造 | ![]() | ![]() | ![]() |
|||
異性体の数 | 7種(全異性体75種) | 10種(全異性体135種) | 12種(PCB全異性体209種) | |||
毒性の高いダイオキシン類と毒性等価換算係数(TEF) | 2,3,7,8-T4CDD | 1 | 2,3,7,8-T4CDF | 0.1 | 3,4,4',5-T4CB(81) | 0.0003 |
1,2,3,7,8-P5CDD | 1 | 1,2,3,7,8-P5CDF | 0.03 | 3,3',4,4-T4CB(77) | 0.0001 | |
1,2,3,4,7,8-H6CDD | 0.1 | 2,3,4,7,8-P5CDF | 0.3 | 3,3',4,4',5-P5CB(126) | 0.1 | |
1,2,3,6,7,8-H6CDD | 0.1 | 1,2,3,4,7,8-H6CDF | 0.1 | 3,3',4,4',5,5'- H6CB(169) | 0.03 | |
1,2,3,7,8,9-H6CDD | 0.1 | 1,2,3,6,7,8-H6CDF | 0.1 | 2',3,4,4',5-P5CB(123) | 0.00003 | |
1,2,3,4,6,7,8-H7CDD | 0.01 | 1,2,3,7,8,9-H6CDF | 0.1 | 2,3', 4,4',5-P5CB(118) | 0.00003 | |
O8CDD | 0.0003 | 2,3,4,6,7,8-H6CDF | 0.1 | 2,3,3',4,4'- P5CB(105) | 0.00003 | |
1,2,3,4,6,7,8-H7CDF | 0.01 | 2,3,4,4',5-P5CB(114) | 0.00003 | |||
1,2,3,4,7,8,9-H7CDF | 0.01 | 2,3', 4,4',5,5'-H6CB(167) | 0.00003 | |||
O8CDF | 0.0003 | 2,3,3',4,4',5-H6CB(156) | 0.00003 | |||
2,3,3',4,4',5'-H6CB(157) | 0.00003 | |||||
2,3,3',4,4',5 -H7CB(189) | 0.00003 |
毒性等価係数は、WHO/IPCS(2006)の値
このようなダイオキシン類の分析は基本的に極微量の分離定量分析であり、技術的なポイントは、代表試料採取、効率的抽出、クリーンアップによる分離精製、 高分解能ガスクロマトクラフ/高分解能質量分析装置(HRGC/HRMS)による異性体成分分離と同定・定量等の多岐にわたり、全ての過程において厳密なデータの品質管理と精度管理が要求されます。
ダイオキシン類対策として、ダイオキシン類対策特別措置法などにより、各種の基準が定められています。
詳細は、ダイオキシン類対策特別措置法(※1)や環境省ホームページ(※2)をご参照下さい。
※1 環境省ホームページ「ダイオキシン類対策特別措置法に基づく基準等」
※2 環境省ホームページ「ダイオキシン類対策」
表2 ダイオキシン類の測定頻度
媒体 | 測定の頻度 | 制定法令 |
---|---|---|
排ガス | 1回以上/年 | ダイオキシン類対策特別措置法第28条 (※3) |
排水 | 1回以上/年 | |
ばいじん等 | 1回以上/年 | |
作業環境 | 1回/6ヶ月以内 | 労働安全衛生規則 基発第401号(※4) |
※3 法令データ提供システム/総務省行政管理局
※4 安全衛生情報センターホームページ「法令情報」
当社では分析対象物やその含有濃度などに応じ、ダイオキシン類分析の定量下限値とそのために必要な試料量を定めています。表3に試料ごとの定量下限値と必要な試料量を示します。
表3 ダイオキシン類分析における分析対象と定量下限値
定量下限値(T4 CDD として) | 試料必要量 | |||
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排ガス | 0.0008 | ng/Nm3 | 3 | m3 |
排ガス | 0.00008 | ng/Nm3 | 30 | m3 |
飛灰、焼却灰及び廃棄物 | 0.0008 | ng/g | 25 | g |
底質、土壌 | 0.3 | pg/g | 50(dry) | g |
排水 | 0.5 | pg/L | 5 | L |
環境水、地下水 | 0.1 | pg/L | 20 | L |
環境大気 | 0.01 | pg/m3 | 1000 | m3 |
作業環境 | 0.05 | pg/m3 | 180 | m3 |
食物 | 0.4 | pg/g | 100 | g |
その他、各種工業製品等の特殊試料についても測定可能です。
当社では、ダイオキシン類の分析を25年以上実施してきた中で、様々な環境試料の測定実績に加えて、食品やプラスチック・化学物質等の工業製品中に含まれるダイオキシン類の測定についても多くの技術ノウハウを蓄積しており、お客様の多様な分析ニーズに、幅広く応えていきます。