分析事例

ポリ塩化ビニル(PVC)中の可塑剤定量分析

軟質PVC製品には柔軟性を付与するために可塑剤が添加されています。使用される可塑剤もフタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステルなど多岐に渡り、軟質PVC製品の組成を把握するためには、これらの可塑剤を定量することが重要です。本資料では、GC/MS法を用いて軟質PVC製品中のフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)を定量した事例を紹介します。

分析試料

医療用軟質PVC製品

分析方法

試料のテトラヒドロフラン溶液を調製し、GC/MS測定に供しました。

分析結果

GC/MS法により、試料に含まれるDEHPを定量した結果を表1に示します。また、GC/MS測定で得られたMSクロマトグラムを図1に示します。

表1. DEHPの定量結果(単位:wt%)
Entry1 Entry2 Mean
分析試料 28.7 29.4 29
MSクロマトグラフ
図1. MSクロマトグラフ
((a)試料 (b)標準品)

本分析法により、PVC中のフタル酸エステルを定量することができました。また、当社ではフタル酸エステルの他にアジピン酸エステルやトリメリット酸エステルなどの可塑剤も定量が可能です。参考までに、GC/MS測定で得られたアジピン酸ジオクチル(DOA)およびトリメリット酸トリオクチル(TOTM)のMSクロマトグラムを図2に示します。

MSクロマトグラフ
図2. MSクロマトグラフ
((a)DOA(b)TOTM)