塩化ビニル樹脂分析

添加剤分析

添加剤分析(スズ系安定剤)

塩ビ樹脂には成形加工時の熱分解(着色)抑制や長期安定性(耐候性)を維持するために安定剤が配合されます。
主な安定剤は鉛系、亜鉛系、スズ系等に分類されます。
スズ系安定剤の代表的なものは、ジブチルスズ化合物やジオクチルスズ化合物ですが、これらはフェニル誘導体化してGC/MS測定を行なうことにより分析が可能です。

添加剤分析(可塑剤)

塩ビはそのままではガラス転移温度が80℃程度の硬質の樹脂ですが、可塑剤を添加することによりガラス転移温度が低下し軟質のゴム状物質になります。これが軟質塩ビです。
軟質塩ビの可塑剤は、主にフタル酸エステル系化合物(DEHP, DBP, DINPほか)が利用され、一部にはトリメリット酸エステル系化合物(TOTMほか)も利用されます。
これらはGC/MS法もしくはNMR法により定性・定量分析が可能です。

添加剤分析(滑剤)

塩ビ樹脂には成型加工性を改善するために滑剤を配合します。
滑剤の分析は前処理として溶剤分別を行い、得られた画分のIR分析、GC/MS分析を実施します。
滑剤にはいくつかの種類がありますが、脂肪酸エステル系の場合は通常のGC/MS測定だけでなく、酸分解の前処理を加え、更に生じる多価アルコール成分をシリル化処理してからGC/MS測定を行なうことにより、詳細な構造決定が可能です。

添加剤分析(乳化剤)

塩ビの重合に用いられる乳化剤は、沸点を持たない化合物であるため、GC/MS分析は適用できません。
その替わりとしてLC/MS法が用いられ、乳化剤として使用される陰イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤が分離・検出可能となります。またLC-MS/MS法を用いることにより微量の成分まで定性・定量が可能です。

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