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分析事例

化学修飾を用いたXPSによる有機材料の表面官能基の分析

材料表面の官能基は材料自体のさまざまな特性に影響するため、表面官能基の評価は重要ですが、一般的に有機物の表面官能基をXPSによって直接評価することは困難です。しかし、材料表面の特定の官能基を化学修飾することで、XPSによる表面官能基の評価が可能になります※)。ここでは、XPSにより表面官能基を評価する方法を紹介します。
※)(参考文献) Y. Nakayama et al., J. Polym. Sci. Part A: Polym. Chem., 26, 559 (1988).

分析試料

ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)

分析方法

XPS(単色化AlKα線)

分析結果

1. 水酸基の評価

無水トリフルオロ酢酸(TFAA)によるポリビニルアルコール(PVA)(ケン化度:約80%)中の水酸基の修飾を例に挙げて紹介します。TFAAによる水酸基の修飾スキームは図1の通りであり、エステル化(化学修飾)反応により水酸基のHがトリフルオロアセチル基に置換されます。
化学修飾前後のPVAについてXPS分析を行い、取得されたC1sスペクトルを図2に示します。化学修飾後のスペクトルは、化学修飾前には無かったCF3由来のピークが確認できます。マーク元素であるFに着目して解析を行った結果、主鎖のCのうち水酸基を持ったCの割合は化学量論組成と同等の38%と測定されました。
実試料に対しても同様の化学修飾を施すことで、試料間の表面水酸基量の相対比較が可能となります。

図1 水酸基の化学修飾
図1 水酸基の化学修飾

図2 化学修飾前後のC1sスペクトル
図2 化学修飾前後のC1sスペクトル

2. カルボキシル基の評価

トリフルオロエタノール(TFE)によるポリアクリル酸(PAA)中のカルボキシル基の修飾を例に挙げて紹介します。TFEによるカルボキシル基の修飾スキームは図3の通りであり、エステル化(化学修飾)反応によりカルボキシル基のHがトリフルオロエトキシ基に置換されます。
化学修飾前後のPAAについてXPS分析を行い、取得されたC1sスペクトルを図4に示します。修飾後のスペクトルは、修飾前には無かったC-OやCF3由来のピークが確認できます。マーク元素であるFに着目して解析を行った結果、主鎖のCのうちカルボキシル基を持ったCの割合は30%と測定されました。
一方PAAの場合、修飾前のC1sスペクトル中のO-C=Oピークの割合からもカルボキシル基の割合を求めることができ、求めた結果は上述の化学修飾による分析結果とほぼ一致しました。これにより全てのカルボキシル基に対してエステル化反応が進行したことが確認されました。
実試料に対しても同様の化学修飾を施すことで、試料間の表面カルボキシル基量の相対比較が可能となります。

図3 カルボキシル基の化学修飾
図3 カルボキシル基の化学修飾

図4 化学修飾前後のC1sスペクトル
図4 化学修飾前後のC1sスペクトル

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