ケイ素は地球上(海水を含む地殻)で酸素に次いで存在量が多い元素であり、半導体や太陽電池など様々な工業製品に単体のみならず、窒素や酸素の化合物の形で活用されています。ケイ素は結合状態によって物性が大きく異なります。このため、ケイ素がどの様な化合物として存在しているかを明らかにすることは重要です。ここでは、電子エネルギー損失分光法(EELS : Electron Energy Loss Spectroscopy)により、二酸化ケイ素、窒化ケイ素からなるシリコン太陽電池の反射防止膜を分析した事例を紹介します。
STEM-EELS分析
(STEM:日立ハイテク製 HD-2700、EELS検出器:Gatan製 Enfina1000)
シリコン基板上に観察された層構造(A層、B層)の分析結果を図1、図2に示します。
EELSスペクトルでは、ケイ素と結合する元素によってSi-L2,3吸収端の形状やピーク位置が異なります。
このようにEELS(電子エネルギー損失分光法)分析を行うことで、シリコン基板上に形成されている薄膜の構造を把握することができます。
シリコン製品に限らず、ナノオーダーの薄膜の化学結合状態を識別することが可能です。