分析事例

ハードコート中のナノシリカの分散状態の評価(SAICAS)

スマートフォンなどに使用されるディスプレイやレンズなどには、耐擦傷性や耐摩耗性の向上のために、ハードコート(以下HC)が用いられています。このHCに添加されるナノ粒子の状態がこれらの性能に大きく影響することが知られています。斜め切削装置(SAICAS)は深さ方向の物性値分布の評価が可能な分析装置です。ナノシリカの分散状態が異なるHCについて、SAICASで検出される垂直力がナノシリカの分散状態と相関を示した事例を紹介します。

分析試料

  • 基材上に成膜したHC 2種類
    (a:ナノシリカが均一に分散、b:表面側に凝集)

分析方法

SAICAS(ダイプラ・ウィンテス製 DN-20S 型)
SAICASによる斜め切削の際に切刃が試料から受ける垂直力を測定しました(図1)。
「SAICAS\サイカス」はダイプラ株式会社の登録商標です。

図1 HCの機械特性 a:機械特性値が均一、b:機械特性値分布が均一でない グラフ

図1 斜め切削の模式図

分析結果

ナノシリカの分散状態が異なる2種類のHCを斜め切削し、得られた垂直力の深さ方向のプロファイルを図2に示します。ナノシリカが均一に分散しているHCでは、垂直力は切削深さと無関係に概ね一定(0.05~0.07N)です(図2(a))。これに対して、ナノシリカが表面側に凝集しているHCの表面付近の垂直力は0.2N、内部では0.03~0.05N となっています(図2(b))。
このように、ナノシリカの分散状態と垂直力は相関関係にあり、間接的にナノシリカの分散状態を評価できました。

図2 SAICASプロファイル(挿入図は試料の断面TEM像)

図2 SAICASプロファイル(挿入図は試料の断面TEM像)