分析装置紹介

斜め切削装置Surface And Interfacial Cutting Analysis System(SAICAS)

ダイプラ・ウィンテス社製 DN-20S型

装置名
ダイプラ・ウィンテス社製 DN-20S型
装置の仕様
最小深さ分解能:0.1μm
測定対象膜厚:数μm~500μm
切刃素材:ダイヤモンド、窒化ホウ素
付加機能:温度調節装置

「SAICAS\サイカス」はダイプラ株式会社の登録商標です。

測定原理

SAICASは切刃を水平方向と垂直方向の2軸運動させて試料を切削する装置です。切刃に発生する垂直力と水平力および切り込み深さ(垂直方向の変位)を解析することで剥離強度や剪断強度などの物性を評価することが可能です。

また、切刃の水平方向と垂直方向それぞれの速度を制御することで、任意の傾斜角の試料断面を精度よく作製でき、XPSやATR-IRなどの分析の前処理にも用いることが可能です。

【参考文献】
木嶋ら, 日本接着学会誌 41, 234 (2005).

適用事例

1. 物性測定

SAICASによる剥離強度測定は、まず図1に示すように、切刃を試料(被着体)表面から切り込ませて、基材との界面に到達するまで斜めに切削します。界面到達後に水平切削に切り替え、被着体を基材から剥離させ、このときの水平力から剥離強度を求めます。

また、被着体切削時の水平力と垂直力から被着体の剪断強度を評価することも可能です。

SAICASによる剥離切削の模式図

図1 SAICASによる剥離切削の模式図

2. 分析試料の前処理
【断面作製】
通常、断面分析は表面に対して垂直に試料を切断した面(垂直断面)を分析します。しかし、多層構造の試料で各層の層厚が薄い場合、広い分析領域を必要とするXPSやATR-IRなどで特定の層を選択的に分析することは困難です。しかし、図2に示すように、斜め切削により断面を作製すると、垂直断面に比べて試料面を広く露出することができます。例えば、水平面に対して10degの斜面を作製すると、垂直断面に比べて試料面は6倍弱広くなります。SAICASで斜め切削による断面を作製することで、垂直断面では分析困難な試料についても分析することが可能となります。

斜め切削による断面作製

図2 斜め切削による断面作製

【異物採取】
試料内部に埋まっている異物を透過-IR法やラマン分光法などで同定分析する場合、そのままの形態で分析することは困難なため、異物を試料表面に露出させる、もしくは異物を採取する必要があります。図3に示すように、SAICASで斜め/水平切削を行うことでマトリックス樹脂を取り除き、マトリックス樹脂内に埋没した異物を露出、もしくは薄片化した試料として異物を採取することが可能です。

試料内部に埋まった異物分析の前処理

図3 試料内部に埋まった異物の露出・採取